2025.12.26
コラム

即時荷重インプラントとは?手術当日に噛める治療のメリットと注意点

即時荷重インプラントとは?手術当日に噛める治療のメリットと注意点

即時荷重インプラントとは?

インプラント治療を検討されている方にとって、治療期間の長さは大きな悩みの一つではないでしょうか。従来のインプラント治療では、手術後に数ヶ月の治癒期間が必要でしたが、「即時荷重インプラント」という画期的な治療法が登場しています。

即時荷重インプラントとは、インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋め込む手術を行った当日に、仮歯を装着して噛める状態にする治療法です。

従来のインプラント治療では、インプラント体を埋め込んだ後、骨との結合(オッセオインテグレーション)が完了するまで3〜6ヶ月の治癒期間を設けるのが一般的でした。この間、患者様は歯のない状態で過ごすことになり、見た目や食事の面で大きなストレスを感じることも少なくありませんでした。

しかし、即時荷重インプラントでは最新の技術と材料を用いることで、手術当日に仮歯を装着し、歯の機能性と見た目を即日回復することが可能になりました。これにより、長期間にわたって歯のない状態を避け、心理的・社会的な負担を大幅に軽減できるのです。

従来のインプラント治療との違い

即時荷重インプラントと従来のインプラント治療には、いくつかの明確な違いがあります。

仮歯装着のタイミングが最も大きな違いです。従来の治療では骨結合後(3〜6ヶ月後)に仮歯を装着しますが、即時荷重では手術当日に装着できます。

治療期間も大幅に異なります。従来の方法では数ヶ月〜半年以上かかるのに対し、即時荷重では最短1日〜数週間で治療が完了します。

通院回数についても、従来の治療では5〜10回程度必要なのに対し、即時荷重では2〜3回程度と少なくなります。

また、見た目の回復時期も即日となるため、社会生活への影響を最小限に抑えることができます。ただし、適応条件については即時荷重の方が制限があり、骨質や骨量などの条件を満たす必要があります。

初期固定の重要性

即時荷重インプラントの成功には「初期固定」が極めて重要です。

初期固定とは、インプラント体が埋入直後から顎骨にしっかりと固定される状態を指します。通常のインプラントでは骨結合を待ってから負荷をかけますが、即時荷重では埋入直後から咀嚼力が加わるため、高い初期固定力が必須条件となります。

一般的に、40〜50Ncm以上のトルク値(固定力の指標)が確保できることが条件とされています。この数値を達成するためには、十分な骨量と良好な骨質が必要であり、歯科医師の高い技術力と経験も求められます。

埋入トルク値は、インプラントを骨に埋め込んだ時に使用したドリルのエンジンまたはトルクレンチで測定します。埋入トルク値が35〜45ニュートン(Ncm)の力で埋入できれば即時荷重が可能となります。

即時荷重インプラントのメリット

即時荷重インプラントには、患者様にとって多くのメリットがあります。

手術当日から噛める

最大のメリットは、手術をしたその日にインプラントで噛める点です。

過去に根管治療や被せ物治療で仮詰め・仮歯を経験したことがある方ならわかるかと思いますが、たとえ数週間であっても特定の歯で噛めないというのはストレスが大きいものです。食事の内容にも制限が加わるため、生活全般にネガティブな影響がもたらされます。

即時荷重インプラントは手術したその日に噛むことができるしっかりとした仮歯を装着できるので、日常生活への支障をできる限り抑えられます。ただし、柔らかいものであれば噛むこともできますが、硬い食べ物は避けていただく必要があります。

審美性・機能性の早期回復

前歯部などの目立つ部位のインプラント治療では、審美性の早期回復が患者様の大きな関心事です。

即時荷重では、手術当日に仮歯が装着されるため、歯がない状態を経験せずに済みます。これにより、社会生活や対人関係における不安やストレスを最小限に抑えることができます。

また、咀嚼機能も早期に回復するため、食事制限による栄養摂取の不均衡や消化器官への負担も軽減されます。会話に支障が出にくいことも大きなメリットです。特に人に接する仕事や見られる仕事をしている方であれば、「会話が自然」「見た目が自然」というメリットは大きいのではないでしょうか。

心身への負担を減らせる

標準的なインプラントでは、2回法が採用されます。

1回目の手術で人工歯根を埋め込み、2回目でアバットメントを装着する方法で、心身への負担は1回法の2倍となります。即時荷重インプラントは、1回の手術で仮歯の装着まで行えることから、患者様の心身にかかる負担も自ずと半減します。

術中・術後の感染リスクも減らせるため、健康面においても有益といえるでしょう。また、手術の回数が少ないため、他のインプラント治療と比較して通院回数が少ない傾向があります。肉体的・精神的にも治療を受ける負担が軽くなるでしょう。

費用面でのメリット

手術回数や通院回数が少なくなるということは、医療費が安くなることも意味します。

実際、即時荷重インプラントは2回法で行うインプラント治療よりも費用が安くなることがほとんどです。通院回数の減少により、交通費や時間的コストを削減できる点も見逃せません。

即時荷重インプラントの注意点とデメリット

即時荷重インプラントにもデメリットや注意すべき点があります。

適応条件が限られる

即時荷重インプラントは、誰でも治療を行うことはできません。

顎の骨が十分にあり、骨密度が高く硬い質の骨であることが必須条件です。骨の量や骨の質、全身の健康状態に問題がある場合は、受けられません。十分な顎骨ではないのに即時荷重を行ってしまうことはリスクが大きく、手術のやり直しにもなりかねません。

即時荷重を行う前に、さまざまな検査の結果を総合的に判断してから決定します。検査によって患者様の骨の状態を正しく正確に把握できることが、歯科医院側の一つの条件となります。

対応できる歯科医院が限られる

即時荷重インプラントの治療に対応している歯科医院が限られます。

通常のインプラントと比べて難易度が高く、高度な技術と専門的な設備が必要になるためです。かかりつけの歯科医院で対応していなければ、他を探すことになるでしょう。

また、即時荷重法に適したインプラントメーカーとインプラント体を選ぶことも重要です。歯科医師の確かな技術と経験が求められる治療法といえます。

治療当日の時間と術後の注意事項

治療・通院の回数は少ないですが、インプラントを埋入する手術日の治療時間は長くなります。

すぐに仮歯が入れられて、見た目が目立たないメリットがあるのですが、手術後1〜2週間は歯茎の治療のため、一時的に見た目が悪い可能性がある点は注意してください。

また、手術後の仮歯期間に強い力が加わるとインプラントが動く恐れがあるため、歯を強く噛みしめる行動や、負荷のかかる硬い食べ物は避けていただく必要があります。歯ぎしりやくいしばりのある患者様も注意が必要です。

一定期間は食事制限があり、インプラント体と顎の骨が結合するまでは、インプラントの歯に負荷がかからないように硬い食べ物は避けなければなりません。

即時荷重インプラントを成功させるポイント

即時荷重インプラントを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

十分な初期固定の確保

インプラント手術時の埋入トルク値が35Ncm以上であることが必要です。

しっかりとした初期固定が得られなければ、即時荷重は適用できません。また、骨質が良いことも重要な条件です。あまり軟らかい骨では初期固定が不十分となってしまいます。

術後の微小動揺の管理

術後の微小動揺を100μm以下にすることが重要です。

インプラント治療後の骨の変化について理解しておく必要があります。インプラント手術をした直後の状態はかなりのトルク値で埋入されているため、安定した状態になっています。つまり、埋入後初期の段階で最もしっかりしているのは手術当日なのです。

骨は生きており、常に吸収と添加を繰り返しています。埋入したインプラントの表面に接触している骨は徐々に吸収され、最もインプラント安定度が下がり、インプラントが緩んでくる時期が約3週目から4週目くらいになります。

この期間に微少動揺を50〜150ミクロンの範囲にとどめることが、インプラント治療を成功に導く基準値と言われています。そのため、噛み合わせの調整、初期の食事の調整、固定などが重要になります。

専門的な技術と設備

術者の確かな技術と経験が不可欠です。

即時荷重インプラントは、通常のインプラント治療よりも高度な技術を要します。また、CTなどの精密な診断設備も必要となります。お口の中や体の状態によって適さない場合があることも理解しておく必要があります。

まとめ

即時荷重インプラントは、従来のインプラント治療の「治療期間の長さ」という大きなデメリットを克服する画期的な治療法です。

手術当日に仮歯を装着でき、その日から噛める生活を取り戻すことができるため、社会生活への影響を最小限に抑えられます。通院回数が少なく、費用面でもメリットがあることから、多くの患者様に選ばれています。

ただし、顎の骨の量や質、全身の健康状態など、適応条件を満たす必要があります。また、高度な技術と専門的な設備を持つ歯科医院でしか受けられない治療法でもあります。

即時荷重インプラントをお考えの方は、まず精密な検査を受けて、ご自身が適応条件を満たしているかどうかを確認することが大切です。

歯科・矯正歯科 GOOD SMILEでは、各専門ドクターがチーム体制で治療を行っており、インプラント治療においても精密診断と精密治療を重視しています。まず土台となる顎の骨や歯周組織を健康に導き、患者様一人ひとりに適した治療をご提案いたします。

インプラント治療に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。詳細はこちら:歯科・矯正歯科 GOOD SMILE

 

記事監修

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