2025.12.13
コラム

矯正歯科治療で起こりうる5つのリスク|正しい知識で安心治療を

矯正歯科治療で起こりうる5つのリスク|正しい知識で安心治療を

矯正歯科治療は、見た目の美しさだけでなく口腔内の健康維持にも重要な役割を果たします。しかし、どんな医療行為にもリスクや副作用が存在することを知っておく必要があります。

治療を始める前に、起こりうるリスクについて正しく理解しておくことで、安心して治療に臨むことができるでしょう。

この記事では、矯正歯科治療で起こりうる5つの代表的なリスクと、それらへの対処法について詳しく解説します。矯正治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

矯正歯科治療で起こりうる5つのリスク

矯正歯科治療は多くの方の歯並びや噛み合わせの問題を改善してきました。しかし、治療には一定のリスクが伴います。

矯正治療を安心して受けるためには、起こりうるリスクを事前に知っておくことが大切です。ここでは、矯正歯科治療で起こりうる代表的な5つのリスクについて詳しく見ていきましょう。

1. 痛みや不快感

矯正装置を装着した直後や調整後には、歯に圧力がかかることで痛みや不快感を感じることがあります。これは歯が動き始めるために起こる正常な反応です。

痛みの程度には個人差があり、軽度の違和感程度から、数日間食事がしづらいほどの痛みを感じる方もいます。

一般的に、この痛みや不快感は装置装着後の数日から1〜2週間程度で慣れていくことが多いです。

痛みへの対処法としては、歯科医の指示に従った鎮痛剤の服用や、柔らかい食べ物を選ぶなどの工夫が効果的です。また、矯正用ワックスを痛みの原因となっている部分に貼ることで、口内の傷を防ぐこともできます。

2. 虫歯・歯周病リスクの増加

矯正装置を装着すると、歯磨きがしづらくなり、食べかすや歯垢が溜まりやすくなります。特にブラケットやワイヤーの周囲は清掃が難しい部分です。

そのため、矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。また、歯が動くことで今まで見えなかった部分の虫歯が見えるようになることもあります。

このリスクを軽減するためには、歯科医や歯科衛生士の指導のもと、専用の歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを使用した丁寧な口腔ケアが欠かせません。

また、定期的なメンテナンスを受けることで、問題の早期発見・早期治療が可能になります。

3. 歯根吸収

矯正治療中に歯を動かすと、稀に「歯根吸収」と呼ばれる現象が起こることがあります。これは歯の根っこの部分が短くなってしまう状態です。

歯根吸収

歯の根が吸収されて短くなる現象で、矯正力によって引き起こされることがあります。軽度の場合は歯の機能に影響しないことが多いですが、重度の場合は歯の安定性に影響することもあります。

研究によると、矯正治療後の歯根吸収量は平均で2.5mm以内であることが多く、全体の6~13%の割合で生じるとされています。また、上顎の前歯が最も歯根吸収を起こしやすいことが報告されています。

歯根吸収のリスク因子としては、治療期間の長さ、歯の移動方向、歯にかける力の強さなどが挙げられます。また、個人的な要因として、元々の歯根の形態や長さ、外傷の既往なども影響します。

このリスクを軽減するためには、定期的なレントゲン検査を行い、歯根の状態をモニタリングすることが重要です。また、適切な矯正力を用いた治療計画を立てることも必要です。

4. 顎関節症状

矯正治療中に「顎関節で音が鳴る」「顎が痛い」「口が開けにくい」などの顎関節症状が現れることがあります。これは、歯の移動に伴い噛み合わせが変化することで起こる場合があります。

特に、もともと顎関節に問題を抱えていた方は、治療中に症状が顕在化することもあります。

顎関節症状が現れた場合は、すぐに担当医に相談することが大切です。症状に応じて、顎の運動制限やマウスピースの使用、筋肉のリラクゼーション法の指導などが行われます。

多くの場合、適切な対応により症状は改善しますが、重症例では専門的な顎関節治療が必要になることもあります。

5. 治療後の後戻り

矯正治療が終了し、装置を外した後に「後戻り」と呼ばれる現象が起こることがあります。これは、治療によって動かした歯が元の位置に戻ろうとする現象です。

後戻りを防ぐために、多くの場合、保定装置(リテーナー)の装着が必要になります。保定装置の使用期間や使用方法は個人差がありますが、指示通りに使用しないと後戻りのリスクが高まります。

また、加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。そのため、治療後も定期的なメンテナンスを受けることが重要です。

後戻りのリスクを最小限に抑えるためには、保定装置の適切な使用と、良好な口腔環境の維持が欠かせません。

どうでしょうか?矯正治療にはこのようなリスクがあることをご理解いただけましたか?

マウスピース矯正特有のリスクと注意点

近年人気が高まっているマウスピース型矯正装置(インビザラインなど)には、従来のワイヤー矯正とは異なる特有のリスクや注意点があります。

マウスピース矯正は取り外しが可能で目立ちにくいというメリットがありますが、それゆえの課題もあります。ここでは、マウスピース矯正特有のリスクについて解説します。

自己管理の重要性

マウスピース型矯正装置は、1日20時間以上の装着が推奨されています。正しい装着方法で十分な時間使用しないと、目標とする治療結果を得られないことがあります。

そのため、患者さん自身による自己管理が非常に重要になります。特に、食事や歯磨きのたびに外す必要があるため、装着し忘れや紛失のリスクもあります。

また、取り外し可能であるがゆえに、装置を外したままにしてしまうと治療効果が得られず、治療期間が延長してしまう可能性があります。

虫歯リスクと装置の管理

マウスピース装着中に糖分を含む飲料を摂取すると、糖分が装置と歯の間に閉じ込められ、虫歯のリスクが高まります。そのため、装置を装着したまま水以外の飲み物を飲むことは避けるべきです。

また、装置自体の清掃も重要です。適切に洗浄しないと、装置に細菌が繁殖し、口臭や歯の健康問題の原因となることがあります。

装置の清掃には専用の洗浄剤や歯ブラシを使用し、定期的に適切な方法で洗浄することが推奨されます。

適応症の限界

マウスピース型矯正装置は、すべての症例に適用できるわけではありません。複雑な症例や重度の不正咬合の場合、従来のワイヤー矯正の方が適している場合があります。

治療途中で予想通りの結果が得られない場合、ワイヤー矯正への変更が必要になることもあります。また、補助的な装置が必要になるケースもあります。

そのため、治療開始前の適切な診断と治療計画の立案が非常に重要です。信頼できる矯正歯科専門医による診断を受けることをお勧めします。

薬機法未承認医療機器であることの理解

日本では、インビザラインなどのマウスピース型矯正装置は、薬機法(医薬品医療機器等法)においてまだ承認されていない医療機器です。

これは完成物薬機法対象外の装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があることを理解しておく必要があります。

ただし、世界100カ国以上で提供され、1,100万人を超える患者さまが治療を受けているという実績があります(2021年9月時点)。

治療を検討される際は、このような法的位置づけについても理解した上で判断することが大切です。

矯正治療のリスクを軽減するための対策

矯正治療に伴うリスクは、適切な対策を講じることで大幅に軽減できます。ここでは、安心して矯正治療を受けるための具体的な対策について解説します。

信頼できる矯正歯科医の選択

矯正治療のリスクを最小限に抑えるためには、信頼できる専門医を選ぶことが最も重要です。矯正歯科の専門的な知識と経験を持つ歯科医師は、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な治療計画を立てることができます。

矯正歯科専門医を選ぶ際のポイントとしては、日本矯正歯科学会の認定医・専門医であるかどうか、矯正治療の経験が豊富かどうか、患者さんの話をしっかり聞いてくれるかどうかなどが挙げられます。

また、初診時のカウンセリングで、治療のメリットだけでなくリスクについても丁寧に説明してくれる医師を選ぶことが大切です。

定期的なメンテナンスの重要性

矯正治療中は、通常よりも虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、定期的なメンテナンスを受けることが非常に重要です。

専門的なクリーニングを受けることで、自分では取り除けない歯垢や歯石を除去し、口腔内を清潔に保つことができます。また、問題が生じていないかを早期に発見することもできます。

メンテナンスの頻度は個人差がありますが、一般的には1〜3ヶ月に1回程度が推奨されます。担当医の指示に従い、定期的に通院することが大切です。

適切なセルフケアの実践

矯正治療中は、自宅でのセルフケアが特に重要になります。矯正装置の周りは食べかすが溜まりやすいため、丁寧な歯磨きが欠かせません。

矯正用の歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使用し、装置の周りも含めて隅々まで清掃することが大切です。また、フッ素配合の歯磨き粉の使用も効果的です。

食事内容にも注意が必要です。特に、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は装置を破損させる原因になるため、避けるか小さく切って食べるなどの工夫が必要です。

矯正治療中のセルフケアについては、担当医や歯科衛生士から詳しい指導を受けることをお勧めします。

治療経過の定期的な評価

矯正治療は長期間にわたるため、定期的に治療経過を評価することが重要です。レントゲン撮影や口腔内写真の撮影などを通じて、歯の移動状況や歯根の状態などを確認します。

問題が見つかった場合は、治療計画の修正や追加の処置が必要になることもあります。担当医との良好なコミュニケーションを保ち、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。

また、治療終了後も定期的な検診を受けることで、後戻りや新たな問題の早期発見・対応が可能になります。

まとめ:正しい知識で安心矯正治療を

矯正歯科治療には、痛みや不快感、虫歯・歯周病リスクの増加、歯根吸収、顎関節症状、治療後の後戻りといったリスクが存在します。また、マウスピース矯正には自己管理の重要性や適応症の限界など、特有の注意点もあります。

しかし、これらのリスクは適切な対策を講じることで大幅に軽減できます。信頼できる矯正歯科医を選び、定期的なメンテナンスと適切なセルフケアを実践し、治療経過を定期的に評価することが重要です。

矯正治療を検討されている方は、メリットだけでなくリスクについても正しく理解した上で、ご自身に合った治療法を選択することをお勧めします。

正しい知識を持って矯正治療に臨むことで、より安心して治療を受けることができ、美しい歯並びと健康的な口腔環境を手に入れることができるでしょう。

当院「歯科・矯正歯科 GOOD SMILE」では、患者様一人ひとりに合わせた矯正治療をご提供しています。矯正治療に関するご質問やご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

歯科・矯正歯科 GOOD SMILEで、あなたの素敵な笑顔をサポートいたします。

監修者情報

歯科・矯正歯科 GOOD SMILE院長 薄井陽平

保有資格など 歯学博士
松本歯科大学 小児歯科学講座 非常勤講師
略歴 2001年3月 松本歯科大学歯学部卒業
2001年4月 歯科医師免許取得
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座入局
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座医員
2003年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助手
2004年4月 松本歯科大学 硬組織疾患制御再建学講座
臨床病態評価学博士課程入学
2007年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教
2009年6月 学位取得(歯学博士)
2012年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教 教任期満了
2015年10月 松本歯科大学 小児科学講座 非常勤講師就任

ごあいさつ

はじめまして、GOOD SMILEの薄井です。歯・矯正に関することはもちろん、口腔内のお悩みなら何でもご相談ください。患者様のお悩みが解消できるよう、もっとも合う治療方法について一緒に考えさせていただきます。

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