2025.12.25
コラム

矯正治療と顎関節症の関係|噛み合わせ改善で症状緩和を目指す方法

矯正治療と顎関節症の関係|噛み合わせ改善で症状緩和を目指す方法

顎関節症とは?矯正治療との深い関わり

顎が痛い、口を大きく開けられない、顎を動かすとカクカク音がする……。

このような症状に悩まされている方は、「顎関節症」の可能性があります。顎関節症は、虫歯や歯周病に続く「第三の歯科疾患」として近年注目されており、特に若い女性に多く見られる傾向があります。顎関節は、食事や会話といった日常生活に欠かせない動作を支える重要な関節ですが、その構造は非常に複雑で、わずかなズレでも不具合が生じやすいという特徴があります。

顎関節症の主な症状としては、「顎を動かすと痛む」「口が大きく開けられない(指3本分も入らない)」「顎を動かすとカクッと音がする」という3大症状が挙げられます。これらの症状が認められ、親知らずの痛みなど他の病気がない場合に顎関節症と診断されます。

矯正治療を検討している方の中には、「歯並びを治せば顎関節症も治るのでは?」と期待される方も多くいらっしゃいます。実際、矯正治療と顎関節症には深い関係があり、噛み合わせの改善が症状緩和につながるケースも存在します。しかし、すべてのケースで矯正治療が顎関節症を改善するわけではありません。

顎関節症の原因は噛み合わせだけではない

「噛み合わせが悪いから顎関節症になった」と思い込んでいる方は少なくありません。

確かに、噛み合わせの異常は顎関節症の原因の一つではありますが、実は顎関節症の原因はそれほど単純ではないのです。近年の研究では、顎関節症は複数の要因が複雑に絡み合って発症する「多因子性疾患」であることが明らかになっています。

噛み合わせと顎関節症の関係性

「噛み合わせが悪い人は必ず顎関節症になる」「顎関節症の人は皆、噛み合わせが悪い」という図式が成り立つでしょうか?答えは「NO」です。噛み合わせが悪くても顎関節症でない人は大勢いますし、逆に美しい歯並びで噛み合わせも良好なのに顎関節症になっている人も多く存在します。

統計的にも興味深い事実があります。顎関節症は若い女性に多く発症しますが、噛み合わせの悪さ(不正咬合)には男女差がありません。むしろ、年齢とともに歯周病で歯を失ったり、歯を支える組織が弱くなったりして、高齢者の方が噛み合わせに問題を抱えているケースが多いのです。

顎関節症を引き起こす多様な要因

顎関節症の原因として考えられる要因は、大きく分けて以下のようなものがあります。

  • 身体的要因:歯並びや噛み合わせの悪さ、顎関節への直接的な衝撃、歯ぎしりや食いしばり、顎関節の構造的な問題
  • 精神的要因:ストレスや不安による顎周辺の筋肉の緊張
  • 生活習慣:頬杖をつく、片側だけで噛む癖、うつぶせ寝、猫背、長時間のパソコンやスマートフォン操作

これらの要因が複数組み合わさり、顎関節の耐久限界を超えたときに顎関節症が発症すると考えられています。ただし、耐久限界には個人差があるため、同じような生活習慣でも発症する人としない人がいるのです。

矯正治療が顎関節症に与える影響とは

矯正治療と顎関節症の関係は、プラスの影響とマイナスの影響の両面があります。

矯正治療によって歯並びが整い、噛み合わせが改善されると、特定の歯に偏っていた噛む力がバランス良く分散されるようになります。その結果、顎関節にかかる負担が軽減され、顎関節症の症状が改善される可能性があります。特に、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、開咬(前歯が噛み合わない状態)などの不正咬合が原因で顎関節に負担がかかっていた場合、矯正治療による改善効果が期待できます。

矯正治療中に起こりうる一時的な症状

一方で、矯正治療中に一時的に顎関節症のような症状が現れることもあります。これは主に以下の理由によるものです。

まず、歯の移動による一時的な噛み合わせの変化が挙げられます。矯正治療のために抜歯した場合、それまで噛み合っていた歯がなくなるため、その分の負担が他の歯にかかり、顎関節にも影響を及ぼす可能性があります。また、抜歯しなくても、矯正治療中は常に噛み合わせが変化するため、顎関節に一時的な負荷がかかることがあります。

次に、矯正治療に対するストレスも要因の一つです。矯正装置の違和感や歯の移動による痛みなどがストレスとなり、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしてしまうことがあります。これらは顎関節症を引き起こす要因となります。

重要なのは適切な治療計画と症状の見極め

矯正治療が顎関節症に与える影響は、患者さん一人ひとりの状態によって異なります。そのため、顎関節症の症状がある場合は、必ず矯正治療を担当する歯科医師に相談することが重要です。経験豊富な矯正専門医であれば、顎関節の状態を適切に評価し、症状を見極めた上で最適な治療計画を立てることができます。

矯正治療中に顎関節症のような症状が現れた場合でも、ほとんどのケースでは一時的なものです。顎がカクッと音がすると鳴らしたくなってしまいますが、鳴らさずに安静にして様子を見ることが大切です。痛みがある場合は、顎を前方に出すような動きや、顎関節症に効くマッサージが効果的な場合もあります。

顎関節症の治療法と予防策

顎関節症の治療法は、症状の程度や原因によって異なります。

軽度の顎関節症であれば、痛み止めを服用しながら様子を見ているうちに自然治癒するケースもあります。痛みがなくなることで力みやストレスが軽減され、症状が改善することがあるのです。ただし、痛み止めは根本的な治療法ではないため、症状がある程度進んでいる場合は他の治療法を併用する必要があります。

マウスピース(スプリント)療法

最も効果的な治療法の一つが、マウスピース(スプリント)を使用した治療です。夜間就寝時にシリコン製のマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる顎関節や顎周辺の筋肉への負担を軽減し、顎関節を正常な位置へと導きます。

マウスピースには従来型と精密なバイトプレートの2種類があり、症状の強い方や噛み合わせの原因を探る場合はバイトプレートを用います。マウスピースは夜のみ装着するため、日常生活への影響は少ないという利点があります。

噛み合わせの調整と矯正治療

適切に処置されていない詰め物や被せ物があることで噛み合わせが悪くなり、それが原因で顎関節症を起こしている場合は、噛み合わせを調整する治療を行います。主に詰め物や被せ物の調整・交換を行うことで、症状を緩和させます。

また、歯並びの改善が有効だと考えられる場合は、矯正治療を行う場合もあります。矯正治療によって噛み合わせが改善されれば、顎関節への負担が軽減され、症状の緩和が期待できます。

生活習慣の改善とセルフケア

顎関節症の予防と改善には、日常生活での習慣や癖を見直すことが非常に重要です。以下のような点に注意しましょう。

  • 片側の顎ばかりで咀嚼しない
  • 硬いものばかり食べない
  • 頬杖をつかない
  • 猫背や顎を突き出した姿勢をしない
  • うつぶせ寝や横向き寝、高い枕で寝ない
  • ストレスを溜めない

また、顎周辺の筋肉をほぐすマッサージも効果的です。咬筋や側頭筋などの筋肉が凝っている場合は、手のひらや指で頭部からほおに向けてやさしく撫でるようにして、筋肉をリラックスさせましょう。ただし、強すぎるマッサージや過度なストレッチは悪化の原因となるので注意が必要です。

GOOD SMILEでの包括的な顎関節症治療

顎関節症の治療には、専門的な知識と経験が必要です。

山梨県甲府市の「歯科・矯正歯科 GOOD SMILE」では、矯正歯科を最も得意とする専門ドクターが、顎関節症に配慮した矯正治療を提供しています。院長の薄井陽平は、松本歯科大学歯科矯正学講座で長年研鑽を積み、歯学博士の学位を取得した矯正歯科の専門家です。顎関節症と矯正治療の関係について深い知見を持ち、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立てることができます。

GOOD SMILEの特徴は、「真のチーム歯科医療」を提供していることです。各専門ドクターがそれぞれの専門分野を担当するチーム体制で治療を行うため、矯正治療だけでなく、顎関節症の治療や予防、さらには歯周病治療やインプラント治療など、総合的な口腔ケアを受けることができます。

マウスピース矯正による負担の少ない治療

GOOD SMILEでは、透明で目立ちにくいマウスピース型矯正装置(インビザライン)に対応しています。マウスピース矯正は、着脱可能で食事やブラッシングも普段通りに行えるため、顎関節への負担を最小限に抑えながら矯正治療を進めることができます。

また、子ども向けのマウスピース矯正も提供しており、乳歯と永久歯が混在する時期のお子様を対象とした治療も可能です。早期に歯並びを整えることで、将来的な顎関節症のリスクを減らすことができます。

充実した医療設備と徹底した衛生管理

GOOD SMILEでは、歯科用拡大鏡(マイクロスコープ)や歯科用CTなどの充実した医療設備を整え、精密診断と精密治療を可能にしています。顎関節の状態を詳細に評価し、最適な治療方法を選択することができます。

また、院内感染予防対策を徹底し、ヨーロッパの高い基準をクリアする滅菌器を使用しています。紙コップやエプロン、グローブなどは使い捨てを採用し、安心して治療を受けられる環境を整えています。

まとめ:顎関節症と矯正治療の適切な理解が大切

顎関節症と矯正治療の関係は、単純な因果関係ではありません。

噛み合わせの改善が顎関節症の症状緩和につながるケースもあれば、矯正治療中に一時的に症状が現れるケースもあります。重要なのは、顎関節症の原因が多岐にわたることを理解し、専門的な知識と経験を持つ歯科医師に相談することです。

顎関節症の症状がある方、または矯正治療を検討している方は、まず信頼できる矯正専門医に相談しましょう。適切な診断と治療計画によって、顎関節症の症状を緩和しながら、美しい歯並びと健康的な噛み合わせを手に入れることができます。

日常生活での習慣や癖を見直し、ストレスを溜めないように心がけることも、顎関節症の予防と改善には欠かせません。顎の痛みや違和感を感じたら、我慢せずに早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

顎関節症でお悩みの方、矯正治療をご検討の方は、ぜひ専門的な知識と経験を持つ歯科医院にご相談ください。詳細はこちら:歯科・矯正歯科 GOOD SMILE

 

監修者情報

歯科・矯正歯科 GOOD SMILE院長 薄井陽平

保有資格など 歯学博士
松本歯科大学 小児歯科学講座 非常勤講師
略歴 2001年3月 松本歯科大学歯学部卒業
2001年4月 歯科医師免許取得
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座入局
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座医員
2003年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助手
2004年4月 松本歯科大学 硬組織疾患制御再建学講座
臨床病態評価学博士課程入学
2007年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教
2009年6月 学位取得(歯学博士)
2012年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教 教任期満了
2015年10月 松本歯科大学 小児科学講座 非常勤講師就任

ごあいさつ

はじめまして、GOOD SMILEの薄井です。歯・矯正に関することはもちろん、口腔内のお悩みなら何でもご相談ください。患者様のお悩みが解消できるよう、もっとも合う治療方法について一緒に考えさせていただきます。

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