子どもの歯並びが悪いと起こる7つのリスクと早期矯正の重要性
子どもの歯並びが悪くなる主な原因とは
子どもの歯並びが悪くなる原因は、大きく分けて遺伝的な要素と後天的な要素があります。歯並びの悪さは遺伝すると思われがちですが、実は後天的な要素が約7割を占めているのです。特に日常生活における様々な習慣が、お子さまの歯並びに大きな影響を与えています。
遺伝的な要素としては、顎の骨の大きさや歯の大きさなどが親から子へと受け継がれることがあります。特に受け口は遺伝しやすいと言われています。両親が受け口の場合、お子さまも受け口になる可能性が高くなるでしょう。
一方、後天的な要素には以下のようなものがあります。
口腔習癖(こうくうしゅうへき)
指しゃぶりや舌で歯を押す癖、爪噛みなどの習慣は、歯に少しずつ力が加わり、歯並びを悪くする原因となります。特に4歳以降も指しゃぶりが続くと、上下の前歯に隙間が生じる開咬や、歯と歯の間に隙間が生じるすきっ歯、さらには出っ歯の原因になることがあります。
また、舌を前に出す癖(舌癖)があると、歯が前方に押されて出っ歯や受け口、開咬の原因となる可能性があります。わずかな力でも、長期間続くと歯並びに悪影響を及ぼすのです。
口呼吸
鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、舌の位置が下がりやすくなります。正しい舌の位置は上顎に密着した状態ですが、口呼吸によって舌が下がると、内側から歯を押す力が弱まります。
さらに、口を開けている時間が長くなるため、口周りの筋肉が発達せず、歯並びに悪影響を及ぼします。子どもが成長期に口呼吸を続けていると、上顎の骨の成長が妨げられ、歯列の幅が狭まって出っ歯や乱杭歯(らんぐいば)の原因になることがあります。

子どもの歯並びが悪いと起こる7つのリスク
お子さまの歯並びが悪いと、見た目の問題だけでなく、健康面や生活の質にも様々な影響を及ぼします。歯並びの悪さを放置すると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
1. 虫歯や歯周病になりやすくなる
歯並びが悪いと、歯と歯が重なっている部分に歯ブラシの毛先が届きにくくなります。そのため、歯垢や食べかすが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
特に叢生(そうせい)と呼ばれるガタガタの歯並びでは、磨き残しが増えやすく、お口の健康を維持するためには、時間をかけて念入りに歯を磨く必要があります。これは毎日のことなので、お子さまにとって大きな負担となるでしょう。
2. 正しく発音できなくなる
歯並びが悪いと、正しく発音ができなくなるリスクがあります。例えば、すきっ歯だと歯と歯の間から空気が抜けやすくなるため、「サ行」が発音しにくくなることがあります。
また、出っ歯だと舌が上の前歯につきにくくなるため、前歯の裏側に舌を当てて発音する「サ行」「タ行」「ナ行」「ラ行」などが正しく発音しづらくなります。これにより、人とのコミュニケーションに支障をきたすことがあるのです。
3. 咀嚼機能の低下により消化器官に負担がかかる
歯並びが悪いと噛み合わせも悪いことが多く、食べ物を十分に噛み砕くことができません。すると、大きな食べ物のかたまりが胃に入ることになり、消化器官に大きな負担がかかります。
食べ物を十分に噛むことは、唾液の分泌を促し、消化を助ける重要な役割を果たします。噛む回数が減ると、栄養の吸収効率が下がるだけでなく、満腹感も得られにくくなり、食べ過ぎの原因にもなるのです。
4. 顎関節症や頭痛、肩こりの原因になる
歯並びが悪いと、噛み合わせのバランスが崩れ、顎に負担がかかります。その結果、顎関節症になるリスクが高まります。顎関節症になると、口を開けたり閉じたりする際に痛みが生じたり、顎から音がしたりします。
さらに、噛み合わせの悪さは姿勢にも影響を及ぼし、頭痛や肩こりの原因になることもあります。お子さまが頭痛や肩こりを訴える場合、歯並びや噛み合わせが原因である可能性も考慮する必要があるでしょう。
子どもの歯並びが悪いと起こるさらなるリスク
歯並びの悪さは、お口の中だけでなく、全身の健康や心理面にも様々な影響を及ぼします。ここでは、先ほど紹介した4つのリスクに加えて、さらに3つのリスクについて詳しく解説します。
5. 集中力の低下
歯並びが悪いと、無意識のうちに歯や顎の位置が気になってしまうことがあります。特に子どもの場合、そのような不快感があると勉強や遊びに集中できなくなることがあるのです。
また、口呼吸になりやすい歯並びの場合、十分な酸素が脳に行き渡らず、集中力の低下を招くことがあります。お子さまの学習能力や日常生活の質を高めるためにも、歯並びの改善は重要な要素と言えるでしょう。
6. 精神的なストレスや自信の喪失
歯並びが悪いことで、お子さまが自分の見た目に自信を持てなくなることがあります。特に思春期に入ると、外見への意識が高まり、歯並びの悪さがコンプレックスになりやすくなります。
笑顔を見せることを躊躇したり、人前で話すことを避けたりするようになると、コミュニケーション能力の発達にも影響を及ぼします。このような精神的なストレスは、お子さまの健全な成長を妨げる要因となり得るのです。
7. 将来的な抜歯リスクの増加
子どものうちに歯並びの問題を放置すると、成長とともに症状が悪化し、将来的に抜歯を伴う大がかりな矯正治療が必要になる可能性があります。
特に顎が小さく、永久歯が並ぶスペースが足りない場合、矯正治療で抜歯が必要になることがあります。早期に適切な対応をすることで、顎の成長を促し、永久歯のためのスペースを確保することができるのです。
子どもの頃から適切な矯正治療を行うことで、将来的な抜歯のリスクを減らし、健康な歯を守ることができます。これは、お子さまの一生の財産となる健康な歯を守るために、非常に重要なポイントなのです。
子どもの歯並びの早期矯正が重要な理由
「子どもの歯並びが少し気になるけど、永久歯が生えそろってからでも大丈夫かな」と考える方も多いでしょう。しかし、子どもの歯並びの問題は、早期に対応することで大きなメリットがあります。
お子さまの顎はまだ成長段階にあり、この成長を利用した矯正治療が可能です。これにより、将来的な負担を軽減できるのです。
顎の成長を利用できる
子どもの顎は成長途上にあるため、その成長をうまく誘導することで、歯並びの問題を効果的に改善できます。特に上顎は5歳までに40〜45%、10歳ごろまでに80%成長するといわれています。
この成長期に適切な矯正治療を行うことで、顎の発育を促進し、永久歯のためのスペースを確保することができます。成人になってからの矯正治療と比べ、より自然な方法で顎の成長をサポートできるのです。
不正咬合の早期改善
不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯並びや噛み合わせが正常でない状態を指します。代表的なものには、出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、開咬、叢生(そうせい)などがあります。
これらの問題は、早期に対応することで改善しやすくなります。特に骨格的な問題が関わる上顎前突や下顎前突は、顎の成長期に治療を始めることで、より効果的に改善できることが多いのです。
例えば、受け口の場合、早期に矯正治療を始めることで、上顎の成長を促進し、下顎の過剰な成長を抑制することができます。これにより、将来的に外科手術が必要になるリスクを減らすことができるのです。
心理的負担の軽減
歯並びの問題は、お子さまの自己イメージや社会性の発達に影響を与えることがあります。早期に矯正治療を行うことで、見た目の改善だけでなく、お子さまの自信を育むことにもつながります。
特に思春期前に治療を始めることで、思春期特有の外見に対する悩みを軽減できる可能性があります。これは、お子さまの健全な心理的発達をサポートする上で、非常に重要なポイントです。

小児矯正はいつから始めるべきか
小児矯正の開始時期については、お子さまの歯並びの状態や成長段階によって異なります。一般的には、以下の2段階に分けて考えることが多いです。
第1期治療(混合歯列期)
第1期治療は、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(5〜10歳頃)に行われます。この時期の治療目的は、顎の成長を誘導し、永久歯が正しく生えるためのスペースを確保することです。
特に以下のような症状がある場合は、第1期治療を検討する必要があるでしょう。
- 受け口(反対咬合)
- 著しい出っ歯
- 開咬(前歯が噛み合わない)
- 顎が狭く、永久歯が並ぶスペースが足りない
- 口呼吸や舌癖などの口腔習癖がある
第1期治療では、取り外し式の装置や拡大装置などを使用して、顎の成長をコントロールします。この治療により、第2期治療の負担を軽減できることが多いです。
第2期治療(永久歯列期)
第2期治療は、永久歯がほぼ生えそろった時期(12歳頃以降)に行われます。この時期の治療目的は、永久歯の位置を細かく調整し、理想的な歯並びと噛み合わせを完成させることです。
第2期治療では、ブラケット(いわゆる「歯列矯正装置」)やマウスピース型矯正装置を使用することが一般的です。第1期治療を適切に行っていれば、第2期治療の期間が短縮されたり、抜歯の必要性が減少したりする可能性があります。
ただし、すべてのお子さまに第1期治療が必要というわけではありません。軽度の叢生(そうせい)など、永久歯が生えそろってからの治療で十分な場合もあります。お子さまの歯並びが気になる場合は、まずは矯正歯科医に相談し、適切な治療開始時期を見極めることが大切です。
まとめ:お子さまの健やかな成長のために
子どもの歯並びが悪いと、虫歯や歯周病のリスク増加、発音障害、咀嚼機能の低下、顎関節症、集中力の低下、精神的ストレス、将来的な抜歯リスクの増加など、様々な問題が生じる可能性があります。
これらの問題を予防・改善するためには、早期の対応が重要です。お子さまの顎はまだ成長段階にあり、この成長を利用した矯正治療を行うことで、より効果的に歯並びの問題を改善できます。
小児矯正は、第1期治療(混合歯列期)と第2期治療(永久歯列期)の2段階で行われることが一般的です。お子さまの状態に応じて、適切な治療開始時期を見極めることが大切です。
歯並びの問題は、見た目だけでなく、お子さまの健康や生活の質に大きく影響します。少しでも気になることがあれば、まずは専門医に相談してみましょう。
当院「歯科・矯正歯科 GOOD SMILE」では、お子さまの歯並びや成長に合わせた最適な矯正治療をご提案しています。キッズスペースも完備し、お子さまが安心して通える環境づくりを心がけています。お子さまの健やかな成長と美しい笑顔のために、ぜひお気軽にご相談ください。
歯科・矯正歯科 GOOD SMILEでは、マウスピース矯正をはじめとする様々な矯正治療に対応しています。お子さまの歯並びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

監修者情報
歯科・矯正歯科 GOOD SMILE院長 薄井陽平
保有資格など 歯学博士
松本歯科大学 小児歯科学講座 非常勤講師
略歴 2001年3月 松本歯科大学歯学部卒業
2001年4月 歯科医師免許取得
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座入局
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座医員
2003年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助手
2004年4月 松本歯科大学 硬組織疾患制御再建学講座
臨床病態評価学博士課程入学
2007年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教
2009年6月 学位取得(歯学博士)
2012年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教 教任期満了
2015年10月 松本歯科大学 小児科学講座 非常勤講師就任
ごあいさつ
はじめまして、GOOD SMILEの薄井です。歯・矯正に関することはもちろん、口腔内のお悩みなら何でもご相談ください。患者様のお悩みが解消できるよう、もっとも合う治療方法について一緒に考えさせていただきます。