2025.12.22
コラム

マウスピース矯正の適応条件とは?向いている歯並びを専門医が解説

マウスピース矯正の適応条件とは?向いている歯並びを専門医が解説

「マウスピース矯正に興味があるけれど、自分の歯並びでもできるのだろうか?」

このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。透明で目立ちにくく、取り外しも可能なマウスピース矯正は、近年多くの方に選ばれている矯正方法です。しかし、すべての歯並びに対応できるわけではなく、適応条件があることも事実です。

今回は、松本歯科大学で長年矯正歯科を専門としてきた経験から、マウスピース矯正の適応条件について詳しく解説いたします。どのような歯並びが向いているのか、逆にどのようなケースでは難しいのか、そして治療を成功させるために大切なポイントまで、包括的にお伝えします。

マウスピース矯正とは?基本的な仕組みを理解する

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを歯に装着して、少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。一人ひとりの歯型に合わせて製作された複数のマウスピースを、定期的に交換しながら理想的な歯並びへと導いていきます。

従来のワイヤー矯正と大きく異なるのは、「取り外しができる」という点です。食事や歯磨きの際には外すことができるため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。また、透明な素材のため装着していても目立ちにくく、人前に出る機会が多い方や接客業の方にも適しています。

歯が動く仕組み

マウスピース矯正では、歯根膜という組織を介して歯に継続的な力を加えることで歯を移動させます。歯は顎の骨に直接固定されているのではなく、歯根膜という薄い組織によって保持されています。マウスピースで歯に圧力をかけると、歯根膜の片側が縮まり、反対側が伸びます。これにより骨が分解され、反対側に新しい骨が形成されるプロセスが進み、少しずつ歯が正しい位置に動いていくのです。

治療の流れ

治療は、まず精密な検査と診断から始まります。歯科用CTやセファログラムなどの検査機器を用いて、歯並びだけでなく顎の骨の状態や噛み合わせまで詳しく分析します。その後、一人ひとりに合わせた治療計画を立て、複数のマウスピースを製作します。患者様は1日17~20時間以上マウスピースを装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。

マウスピース矯正が向いている歯並びの条件

マウスピース矯正は、すべての歯並びに対応できるわけではありません。適応できる症例には一定の条件があります。ここでは、マウスピース矯正が向いている歯並びについて詳しく解説します。

軽度から中等度の歯並びの乱れ

マウスピース矯正がもっとも得意とするのは、軽度から中等度の歯並びの乱れです。具体的には、前歯の軽いガタガタ、わずかな隙間、軽度の出っ歯などが該当します。これらの症例では、マウスピース矯正で十分に美しい歯並びを実現できます。

前歯数本だけの軽い凸凹であれば、部分的なマウスピース矯正も可能です。ただし、見た目だけでなく噛み合わせも考慮する必要があるため、専門医による診断が不可欠です。

非抜歯で対応可能なケース

マウスピース矯正は、歯を抜かずに治療できるケースに特に適しています。歯を並べるスペースが比較的確保しやすい場合や、歯列を少し広げることで対応できる場合などです。

ただし、重度の叢生(歯の重なり)や顎の大きさと歯の大きさのバランスが著しく悪い場合は、抜歯が必要になることもあります。抜歯後の大きなスペースを閉じる動きは、マウスピース矯正が苦手とする動きの一つですので、症例によってはワイヤー矯正との併用や、ワイヤー矯正への変更を提案することもあります。

歯並びだけが原因の口元の突出

口元が前に出ている「口ゴボ」と呼ばれる状態でも、歯並びだけが原因であればマウスピース矯正で改善できる可能性があります。上の前歯が前に出ている出っ歯や、歯の位置が原因で唇が押し出されているケースなどです。

マウスピースで前歯の傾きを修正することで、口元全体がすっきりと見えるようになり、横顔の印象も大きく変わります。ただし、顎の骨格自体に問題がある場合は、マウスピース矯正だけでは十分な改善が難しいこともあります。

マウスピース矯正が難しい・向いていない歯並び

マウスピース矯正には得意な動きと苦手な動きがあります。ここでは、マウスピース矯正が難しいケースについて解説します。

重度の歯並びの乱れ

歯が大きく重なっている重度の叢生や、顎の骨格に問題がある骨格性の不正咬合は、マウスピース矯正だけでは対応が難しい場合があります。このような症例では、歯を大きく動かす必要があるため、より強い力をコントロールできるワイヤー矯正が適していることが多いです。

複雑な歯の動きが必要なケース

マウスピース矯正は、歯を「押す」「引き出す」といった複雑な動きが苦手です。特に歯を垂直方向に動かす、歯を回転させる、抜歯後の大きなスペースをきれいに閉じるといった動きは難易度が高くなります。

また、埋まっている歯(埋伏歯)がある場合や、複数のインプラントが入っている場合も、マウスピース矯正の適応外となることがあります。

骨格的な問題がある場合

下顎が小さく後ろに引っ込んでいる、上下顎のバランスが著しく悪いなど、骨格的な問題が原因の不正咬合は、マウスピース矯正だけでは十分な改善が難しいことがあります。このような場合は、外科的処置との併用や、裏側矯正などの他の矯正方法を検討する必要があります。

重度の歯周病がある場合

歯を支える骨が大きく失われている重度の歯周病がある場合、矯正治療自体が難しくなります。まずは歯周病の治療を優先し、口腔内の健康を回復させてから矯正治療を検討します。

マウスピース矯正を成功させるための重要なポイント

マウスピース矯正の成否は、患者様ご自身の協力に大きく左右されます。ここでは、治療を成功させるために大切なポイントをお伝えします。

装着時間を守ること

マウスピース矯正でもっとも重要なのは、1日20時間以上の装着時間を守ることです。取り外しができるという利便性がある一方で、装着時間が短いと歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり、期待した結果が得られなかったりします。

食事と歯磨き以外の時間は、基本的にマウスピースを装着している必要があります。自己管理能力と継続力が、治療の成否を左右する最大のポイントといえます。

定期的な通院とメンテナンス

マウスピース矯正では、定期的な通院が欠かせません。歯の動きを確認し、必要に応じて治療計画を調整します。また、虫歯や歯周病のチェックも重要です。マウスピースを装着している間は、口腔内の清潔を保つことがより一層大切になります。

専門医による診断と治療計画

マウスピース矯正の適応を正しく見極めるには、豊富な経験と専門知識が必要です。見た目だけでは判断できない歯の根っこや顎の骨の状態まで、精密検査をしたうえで診断します。

当院では、歯科用CTやセファログラムなどの充実した医療設備を用いて、精密な診断を行っています。また、矯正歯科を専門とするドクターが、一人ひとりに最適な治療計画をご提案いたします。

マウスピース矯正のメリットとデメリット

マウスピース矯正を検討する際には、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。

マウスピース矯正のメリット

まず、装置が目立たないという点は大きな魅力です。透明なマウスピースは装着していても気づかれにくく、人前に立つ機会が多い方でも安心して治療を受けられます。

また、取り外しができるため、食事制限がなく好きなものを楽しめます。歯磨きも普段通りに行えるため、虫歯や歯周病のリスクを抑えられます。さらに、金属を使用しないため金属アレルギーの心配もありません。

痛みや違和感も、ワイヤー矯正に比べて少ない傾向があります。薄くて滑らかな素材のため、口の中の異物感が少なく、発音もしやすいです。

マウスピース矯正のデメリット

一方で、装着時間を守る自己管理が必要という点はデメリットといえます。外してしまえるからこそ、患者様ご自身の意思と継続力が重要になります。

また、複雑な歯の動きが必要な症例では、ワイヤー矯正に比べて治療期間が長くなることがあります。噛み合わせの調整もワイヤー矯正より難しい場合があります。

さらに、症例によってはマウスピース矯正だけでは対応できず、途中でワイヤー矯正への変更が必要になることもあります。事前の診断で適応を正しく見極めることが非常に重要です。

まとめ~あなたに合った矯正方法を見つけるために~

マウスピース矯正は、軽度から中等度の歯並びの乱れに対して、目立たず快適に治療できる優れた方法です。しかし、すべての症例に適応できるわけではなく、重度の歯並びの乱れや骨格的な問題がある場合は、他の矯正方法が適していることもあります。

大切なのは、ご自身の歯並びの状態を正確に把握し、適切な治療方法を選択することです。見た目だけでは判断できない部分も多いため、精密検査と専門医による診断が欠かせません。

当院では、矯正歯科を専門とするドクターが、一人ひとりのお口の状態を詳しく診査し、最適な治療方法をご提案しています。マウスピース矯正だけでなく、ワイヤー矯正や裏側矯正など、さまざまな選択肢の中から、患者様のご要望とお口の状態に合わせた治療計画を立てます。

「自分の歯並びはマウスピース矯正で治せるのだろうか?」という疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。精密な検査と丁寧なカウンセリングで、あなたに最適な矯正方法を一緒に考えさせていただきます。

美しい歯並びは、見た目の印象を良くするだけでなく、噛み合わせの改善や口腔内の健康維持にもつながります。長い目で見たお口の健康をサポートするために、私たちは質の高い矯正治療をご提供してまいります。

詳しい治療内容や費用、治療期間などについては、ぜひお気軽にお問い合わせください。あなたの笑顔のために、私たちが全力でサポートいたします。

詳細はこちら:歯科・矯正歯科 GOOD SMILE

監修者情報

歯科・矯正歯科 GOOD SMILE院長 薄井陽平

保有資格など 歯学博士
松本歯科大学 小児歯科学講座 非常勤講師
略歴 2001年3月 松本歯科大学歯学部卒業
2001年4月 歯科医師免許取得
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座入局
2001年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座医員
2003年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助手
2004年4月 松本歯科大学 硬組織疾患制御再建学講座
臨床病態評価学博士課程入学
2007年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教
2009年6月 学位取得(歯学博士)
2012年4月 松本歯科大学 歯科矯正学講座助教 教任期満了
2015年10月 松本歯科大学 小児科学講座 非常勤講師就任

ごあいさつ

はじめまして、GOOD SMILEの薄井です。歯・矯正に関することはもちろん、口腔内のお悩みなら何でもご相談ください。患者様のお悩みが解消できるよう、もっとも合う治療方法について一緒に考えさせていただきます。

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